印西市草深の鍼灸治療院

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 肩こり研究① 分類

肩こり
後頭下部から後頸部、肩甲背部、肩関節部にかけての筋肉の緊張を中心とする不快感、違和感、鈍痛などのの症状、愁訴。

鍼灸院を新規開院してから3ヶ月、肩こりの患者さんが多い。
首や肩、背中の鈍痛や掣痛の症状のみの方や、頭痛・吐き気・めまい・耳鳴り・鼻水が止まらない・上肢の痺れなどの症状が付随している方も多い。
1〜3回ほどの治療で症状は軽減するが、患者の体型や姿勢、社会環境、性格などが関わる事から完治は難しい。それでも継続していくと、生活に支障を感じなくなるため非常に喜んでいただける。

しかし、なかなか改善しない頑固な肩こりもある。頸椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、パーキンソン病や脳血管・脳神経障害などによる麻痺が関係するものや、精神疾患から生じている肩こりなど。またはパンコースト腫瘍などによるレッドフラッグな肩こりなどがあり、肩こりも鑑別が非常に重要だと感じる。

今までの自分の知識の整理やアップデートを行うことで肩こりも含め、その他の疾患に対する臨床能力の向上に努めたいと考える。

肩凝り分類
1)本態性肩こり
特別な基礎疾患が見当たらない肩凝り。
①原因
不良姿勢、運動不足による筋力低下、不適切な運動、過労、寒冷、ストレス、加齢などが挙げられる。
②機序
筋肉が過度の負荷を受けると、末梢神経のナトリウムチャネルが増加して、過剰な興奮が筋・筋膜を貫いている脊髄神経枝を刺激する。これによって反応性に運動神経、交感神経への下行性のインパルスが生じ、結果、筋肉の緊張やこりを生じていると考えられている。

2)症候性肩こり
さまざまな身体疾患に起因する肩こり。

原因となる疾患
1. 整形外科、ペインクリニックで扱うことが多い疾患
・頸椎疾患
 a.頸椎症(頸椎症性神経根症,頸椎症性脊髄症)
 b.椎間板変性(椎間板ヘルニア)
 c.椎間関節症
 d.環軸椎亜脱臼、環軸関節変形性関節症
 e.後縦靱帯骨化症
 f.頸椎捻挫
 g.化膿性脊椎炎や結核性脊椎炎などの炎症性疾患
 h.頸椎骨腫瘍や髄内腫瘍、髄外腫瘍などの腫瘍
 I.頸椎硬膜外血腫など稀なもの
・肩関節疾患(肩関節周囲炎、肩腱板損傷、肩関節不安定症、動揺性肩関節症、三角筋拘縮症)
・周辺の筋群の異常(石灰沈着性頸長筋炎)
・その他(肩甲上神経障害,腋高神経障害.胸郭出口症候群、リウマチ性多発筋痛症)

2. 内科・外科疾患
・頭痛と関連して生じるもの(片頭痛、緊張型頭痛、巨細胞性動脈炎)
・循環器疾患(高血圧、狭心症、心筋梗塞、心外膜炎,解離性大動脈瘤,動脈炎症候群)
・消化器疾患(胃、十二指腸、肝臓、胆嚢、膵臓疾患で起こるが胆石症、膵炎による頻度が高い)
・呼吸器疾患(胸膜炎,肺尖部腫瘍,横隔膜下膿瘍)
・神経疾患(脳出血、脳梗塞、パーキンソン病、頸部ジストニア,虚血性末神経障害)
・その他(貧血)

3.眼科疾患
・視力障害、緑内障、VDT 症候群[visual display terminal syndrome]などによる眼性疲労

4.耳鼻咽喉科疾患
・内耳,前庭,中耳,外耳の炎症性疾患、内耳性眩量、耳管開放症、副鼻腔炎、上咽頭炎

5.婦人科疾患
・更年期障害

6.歯科疾患
・顎関節症[temporomandibular disorder]

7.その他
・皮膚筋炎

参考文献
『肩こりの臨床 関連各科からのアプローチ』森本昌宏

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