【相談内容】
50代の女性。お父様の介助中に不意に転倒し、左の脇腹を強く打ちつけて「骨折」を負われました。
病院では消炎鎮痛剤と湿布を処方されましたが、期待したほどの効果は得られず。体を少しひねるだけでも激痛が走り、深く息を吸うことやくしゃみ、咳をすることさえ「響くのが怖い」と恐怖を感じるほどでした。
仕事も忙しく、さらにお父様の介助も休めないという過酷な状況の中、「少しでもこの痛みを和らげて、動けるようになりたい」と切実な思いで当院へお越しいただきました。
- 主訴:左脇腹の骨折部位の痛み(動作時、呼吸時、咳・くしゃみ時)
- 随伴症状:呼吸の浅さ、介助動作時の不安感、痛みによる疲労感
【中医学的分析】
中医学では、外傷による骨折とその後の痛みを以下のように捉えます。
- 瘀血(おけつ)打撲や骨折などの外傷によって、体内の血流が滞り、組織がダメージを受けた状態です。「不通則痛(ふつうそくつう:血が通わないと痛みが出る)」という原則通り、骨折部位に血が滞ることで強い痛みが生じます。
- 気滞(きたい)痛みへの恐怖心から呼吸が浅くなり、エネルギー(気)の巡りが悪くなっている状態です。特に脇腹は「肝(かん)」の経絡(エネルギーの通り道)が通る場所であり、ここが滞ると精神的なストレスや緊張も強まりやすくなります。
- 阿是穴(あぜけつ)特定の名前があるツボではなく、押して「あ!そこです!」と響く、今まさに痛みを発しているポイントのこと。今回はこの阿是穴の処理が治療の鍵となりました。
【治療】
- 患部周辺の血流促進(活血化瘀:かっけつかお)骨折部位を直接強く刺激するのではなく、その周囲や関連する経絡(ツボの道)を使い、滞った血液を流す治療を行いました。これにより、患部の腫れや炎症の引きを早めます。
- 阿是穴(あぜけつ)の特定指先で慎重に患部を触診し、数ある痛みの中でも特に「突き抜けるような痛み」を感じるポイントを2〜3箇所特定しました。
- 皮内鍼(ひないしん)の貼付特定した激痛ポイントに、長さ数ミリの非常に短い鍼を固定する「皮内鍼」を施しました。皮膚にごくわずかな刺激を継続的に与え続けることで、脳へ伝わる痛みの信号を遮断し、筋肉の緊張を劇的に緩和させます。
【経過】
- 初診時皮内鍼を貼ったその瞬間から、「あ、呼吸をしても痛くない!動くのが楽です」と驚きの声を上げられました。動作時の痛みが大幅に軽減し、お帰りの際の表情には安心感が見て取れました。
- 2週間後(2回目来院)「だいぶ楽になった」とのこと。実は途中で皮内鍼が1つ外れてしまった際、抑えられていた痛みが再び顔を出したそうで、「あの小さな鍼がどれほど効いていたのか、身を持って実感しました」とお話しくださいました。
- 現在痛みによる過度な緊張が取れたことで、お父様の介助やお仕事も、以前よりスムーズにこなせるようになっています。
【まとめ】
骨折の痛みは「骨がくっつくのを待つしかない」と思われがちですが、中医学的なアプローチ(鍼灸)を加えることで、その間の苦痛を劇的に和らげることが可能です。
特に「皮内鍼」は、貼っている間ずっと治療効果が続くため、お仕事や介護で安静が難しい方にとって、非常に心強い味方となります。
もしあなたが「痛み止めが効かない」「早く動けるようになりたい」と一人で耐えているのなら、我慢せずにぜひ一度ご相談ください。その痛み、もっと早く楽にできるかもしれません。
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