こんにちは、青藍堂の院長大坪です。今回は、腰痛治療の中で、特に腰椎捻挫(ギックリ腰)に効果のある後谿穴に対して書いていきたいと思います。
ぎっくり腰に対して鍼灸治療の効果は非常に高いです。
青藍堂では、中医学(中国医学)の診察法を用いますが、ぎっくり腰で来院しベッドに横になるのも困難な患者さんには、問診をしている最中から後谿穴に鍼を用いる事があります。
お話しを聞きながら、患者さんに動ける範囲内で身体を動かしてもらっていると、痛みで動かす事の出来なかった身体が徐々に動かす事ができるようになっていきます。
人によっては後谿に鍼を用いた瞬間から痛みがやわらぐのを感じる方もいらっしゃいます。
問診をしながら可動範囲を見つつ、横になる事ができるようになった時に、痛みで凝り固まった頸部や背部、腰、下肢の腧穴(しゅけつ)に必要な本数を用いていきます。
2~3回の鍼灸治療で痛みがおさまり通常の生活に戻れる方が多いです。
後谿穴は手太陽小腸経という経脈(中医学でいう気の流れる経路)の上にあり、「兪穴(ゆけつ)」と呼ばれる種類のツボです。「兪穴(ゆけつ)」は体重節痛(身体の重だるさや関節の痛み)に効果があり、また督脈という背骨を流れる経脈とも関係があるとされているため中枢神経にも効果を及ぼすと考えられます。そのため、ぎっくり腰だけでなく寝違えなどの首の痛み、全身の痛みに一定の効果が期待できます。
中国古代の文献では、宋代以降では後谿穴で治すことができるとされている症状が増えていますが、昔から癲癇などの脳の病気にも用いられているようです。今後も臨床で癲癇などの病気や疼痛に悩まされている患者さんを診させていただく機会があれば、後谿穴を用いるのも一つの選択肢となるでしょう。
参考図書 『中国针灸穴位通鉴』 青岛出版社
2024年2月13日於青藍堂
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