印西市草深の鍼灸治療院

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症例

適応障害

【相談内容】

職場の人間関係や環境ストレスにより「適応障害」と診断された男性の症例です。

初夏に休職を経て7月に職場復帰を果たし、一時はフルタイム勤務を継続できるまで体調が持ち直していました。しかし、3連休が明けた直後から、再び出勤時に強い吐き気や胃の不快感、動悸が出現。当初は「出勤前の朝だけ」だった吐き気が、次第に仕事を休んでも1日中続くようになり、全身の重い倦怠感や背中・後頭部の蟻走感(虫が這うような違和感)も重なり、日常生活にも支障をきたす状態で来院されました。

主訴:出勤時の強い吐き気(日中も持続)、動悸、胃のつかえ・腹痛
随伴症状:全身の倦怠感、後頭部〜背中の蟻走感、手足の冷え、中途覚醒


【中医学的分析】

お身体を拝見したところ、舌に歯の跡がくっきりと残るむくみ(歯痕)と、白く厚い苔が見られました。これは中医学において、胃腸機能の低下と体内の余分な水分トラブルを示す典型的なサインです。

1. ストレスによる自律神経の乱れ(肝鬱気滞:かんうつきたい)
長期間にわたる職場での緊張や精神的負荷によって、気の巡りをコントロールする「肝(かん)」の働きが滞ってしまう。この滞った気が逆流することで、胸苦しさや動悸、背中の症状を引き起こしたと考えられます。

2. 胃腸の機能低下と余分な水分の停滞(脾虚湿盛:ひきょしつせい)
中医学では、精神的ストレスが胃腸(脾胃)を直撃する関係性(肝胃不和・肝脾不和)があります。弱った胃腸の中に余分な水分や老廃物(湿邪・痰湿)が停滞した結果、舌のむくみや苔、全身の鉛のような倦怠感として現れた。

3. 気の逆流による吐き気(胃気上逆:いきじょうぎゃく)
本来、胃の気は下に向かって降りるのが自然ですが、滞った気と胃に溜まった余分な水分が押し上げられることで、激しい吐き気や胃のつかえ感を引き起こします。


【治療】

急性期の強い吐き気と動悸を速やかに鎮めつつ、弱った胃腸の働きを立て直す方針で施術を行いました。

1. 胃の気の逆流を鎮め、動悸を落ち着かせる(和胃降逆・安神)
手首の内側にある「内関」と足の内側にある「公孫」は、胃の不快感・吐き気や動悸に対する代表的なツボです。みぞおち(鳩尾)の緊張を緩め、上へ突き上げる気を下方向へ引き下げる。

2. 自律神経の過緊張を緩め、背部の違和感を解消する(疏肝理気)
自律神経の中枢と連動する背中上部の緊張を直接緩めることで、呼吸を深め、後頭部から背中にかけての蟻走感を緩和する。

3. 胃腸の水分代謝を高め、気力を補う(健脾利湿)
急性症状の落ち着きに合わせて、胃腸の働きを助けて湿気を取り除くツボを組み合わせ、倦怠感が出にくい土台を整える。


【経過】

 初診時
施術直後からみぞおちの硬さと胸のつかえが緩み、「呼吸が深くなり、胃のムカムカが軽くなった」と実感。

 2回目(初診から4日後)
1日中続いていた吐き気が「朝の出勤前のみ」へと局所化。背中の蟻走感も軽減。

 4回目(初診から2週間後)
朝の吐き気の強さが半分以下に減少。蟻走感は消失。食欲が戻り始め、舌の白い苔も薄くなり始める。

 12回目(初診から1ヶ月半後)
出勤時の吐き気・動悸がほぼ消失。週末の疲労回復もスムーズになる。

 15回目(初診から2ヶ月半後)
症状は全てなくなり、体調は回復したが。本人の希望と予防も兼ねて現在も治療を継続中。


【まとめ】

適応障害に伴う吐き気や動悸は、単なる「気持ちの問題」ではなく、自律神経の緊張が内臓の動き(特に胃腸の昇降機能)を物理的に乱してしまうことで起こります。

休職や連休明けの復職時期は、ご本人が自覚している以上に心身へ負荷がかかりやすいタイミングです。「一度治ったはずなのに再発した」とご自身を責めてしまう患者様も少なくありませんが、乱れた気の巡りと胃腸の機能を鍼灸で整えることで、体は再び本来のリズムを取り戻せます。

冷たい飲み物や脂っこい食事を控え、温かいスープやお粥などで胃腸をいたわりながら、焦らず段階的に整えていきましょう。同じような症状でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

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