印西市草深の鍼灸治療院

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症例

帯状疱疹(三叉神経)

【相談内容】

来院される1週間ほど前、突然、顔の右側に水疱が現れ、すぐに病院を受診されたところ「帯状疱疹(たいじょうほうしん)」と診断される。現在は処方された抗ウイルス薬を服用しながら、早期の回復と痛みの緩和を目指して当院へご相談にいらっしゃいました。

初診時、水疱は右耳から右頬、そして顎にかけて広がっており、一部は水疱が破れて潰瘍(皮膚がただれて深く傷ついた状態)になっていました。また、お顔全体がまるでガーゼで覆われているかのような強い違和感と、神経に沿ったズキズキとした痛みに悩まされていました。

 主訴:お顔の右側(右耳〜右頬〜顎)にかけての帯状疱疹、水疱・潰瘍、ズキズキと響く神経痛


【中医学的分析】

中医学では、帯状疱疹を「纏腰火丹(てんようかたん)」や「蛇串瘡(じゃせんそう)」などと呼びます。お身体の状態を詳しく診察したところ、今回の症状の背景には「脾虚湿盛(ひきょしっせい)」の体質と、それに伴う「湿熱毒邪(しつねつどくじゃ)」の停滞、そして経絡の詰まりである「経絡不通(けいらくふつう)」があると見立てました。

① 脾虚湿盛(ひきょしっせい)と湿熱の停滞
中医学において「脾(ひ=胃腸の働き)」は、飲食物からエネルギーを作り出すだけでなく、体内の水分代謝をコントロールする重要な役割を担っています。患者様はもともと胃腸に負担がかかりやすく、体内に「湿邪(しつじゃ=余分な水分や老廃物)」を溜め込みやすい体質でした。この溜まった「湿」が、加齢や疲労による免疫力の低下をきっかけに「熱(炎症)」と結びつき、皮膚の表面に水疱や潰瘍(湿熱毒)となって現れたと考えられます。

② 経絡の気血の滞り(不通則痛)
中医学には「不通則痛(ふつうそくつう=気や血の通り道である経絡が詰まると、痛みが生じる)」という基本原則があります。ウイルスによる強い炎症と湿熱の邪気が、お顔の右側を走る経絡(胃経や小腸経、三叉神経領域)を塞いでしまったことで、気血の流れが滞り、ズキズキとした激しい神経痛を引き起こしていました。


【治療】

病院での抗ウイルス薬の服用と並行し、皮膚の修復を早め、神経の炎症と痛みを鎮めるために以下の3つのステップで鍼灸治療を行いました。

1. 三叉神経領域(お顔と耳の後ろ)へのアプローチによる鎮痛と血流改善
今回の帯状疱疹は、お顔の感覚を司る「三叉神経(さんさしんけい)」の第3枝(耳の前から頬の下部、顎にかけてのライン)に沿って現れていました。そのため、炎症を起こしている神経の興奮を鎮め、局所の気血の巡りを回復させる目的で、お顔の関連する経穴(ツボ)と、耳の後ろにある「翳風(えいふう)穴」を使用しました。翳風穴は、耳周りやお顔の神経痛、三叉神経領域のトラブルに対して非常に高い効果を発揮する重要なツボです。

2. 「健脾祛湿(けんぴきょしつ)」による体質改善と水疱の修復
お顔の症状だけでなく、根本的な原因である「湿邪(余分な水分)」を取り除くため、手足のツボを用いて「健脾祛湿(胃腸の働きを整えて、体内の余分な湿気や老廃物を排出する)」の治療を同時に行いました。体内の水分代謝を高めることで、ジュクジュクとした水疱や潰瘍が早く乾き、きれいな瘡蓋(かさぶた)へと変わるよう自己治癒力を後押しします。

3. 帯状疱疹後神経痛(PHN)への移行を防ぐ継続的なケア
60歳以上の方が帯状疱疹を発症した場合、皮膚の症状が治まった後も痛みが長く残る「帯状疱疹後神経痛(PHN)」へ移行する確率が約30%あると言われています。神経が受けたダメージを最小限に抑え、痛みの記憶が定着してしまうのを防ぐため、発症初期から間隔を空けずに集中的な施術を組み立てました。


【経過】

 初診時:
右耳から右頬、顎にかけて水疱が多発し、一部は破れて潰瘍化。お顔にガーゼが張り付いているような不快な感覚と、強い痛みがある状態。早期の鎮静化を図るため、週に2回のペースで治療を開始しました。

 4診目(治療開始から約2週間):計4回の施術を終えた段階で、水疱や潰瘍はすっかり乾いて瘡蓋(かさぶた)へと変わりました。初診時に強く訴えられていた「お顔がガーゼで覆われているような感覚」も消失しています。三叉神経のラインに沿ったズキズキとした痛みはまだ残っているため、後遺症を残さずしっかりと痛みを抜き切ることを目標に、現在も工夫を重ねながら治療を継続しています。


【まとめ】

帯状疱疹は、加齢や過労、ストレスなどをきっかけに誰にでも起こりうる疾患です。特にご高齢の方や、お顔周り(三叉神経領域)に発症した場合は、症状が強く出やすく、皮膚がきれいになった後も「帯状疱疹後神経痛」として頑固な痛みが残ってしまうケースが少なくありません。

帯状疱疹の治療において最も大切なのは、「発症からなるべく早い段階で治療を始めること」です。病院での投薬治療(抗ウイルス薬など)と並行して鍼灸治療を取り入れることで、以下のような相乗効果が期待できます。

 胃腸の働きや全身の巡りを整え、水疱や潰瘍の修復(かさぶた化)を早める

 神経の周囲の血流を改善し、ダメージを受けた神経の回復を促す

 痛みの悪循環を断ち切り、帯状疱疹後神経痛への移行リスクを抑える

養生としては、患部を決して冷やさないこと(冷やすと経絡が収縮し、痛みが強くなります)、そして消化に優しい温かい食事を心がけ、十分な睡眠をとって身体のエネルギー(正気)を補うことが大切です。

「薬を飲んでいるけれど痛みが引かない」「後遺症が残らないか不安」という方は、どうぞお一人で悩まれず、お早めに当院までご相談ください。一日も早く穏やかな日常を取り戻せるよう、お身体の状態に合わせた丁寧な治療でサポートいたします。

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