印西市草深の鍼灸治療院

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症例

顎関節症

【相談内容】

以前から左顎の違和感を抱えていらっしゃいましたが、次第に口を開けるたびに強い痛みが走るようになり来院された40代女性の患者様です。特に食事の際、食べ物を噛んだり口を大きく開けたりする動作がつらく、毎日の食事が楽しめない状態でした。また、口を開閉するたびに顎の関節がカクカクと鳴る音も気になり、「痛みと音の両方をしっかり治したい」とのご希望でした。

 主訴:開口時の左顎の痛み、顎関節の開閉音

 随伴症状:食事の際の咀嚼・開口困難、顎周囲および側頭部の強い筋緊張


【中医学的分析】

局所の触診や全身の経絡(けいらく:気血の通り道)の反応を診たところ、今回の症状は「足陽明胃経(あしようめいいけい)・足少陽胆経(あししょうようたんけい)の経絡不通」および「気血の滞りによる筋脈の失養(しんみゃくのしつよう)」と見立てました。

① 経絡の滞り(不通則痛:ふつうそくつう)
中医学には「通じざれば則ち痛む(気血の流れが滞ると痛みが生じる)」という基本原則があります。顎の関節や咬筋(噛む筋肉)の周囲は、「胃経」や「胆経」といった経絡が巡っています。これらの経絡の流れがスムーズでなくなることで、顎関節周囲の気血が滞り、開口時の痛みや引っかかり(関節音)を引き起こしていました。

② 側頭部から顎にかけての「経筋(けいきん)」の緊張
物を噛むときは顎だけでなく、こめかみから耳の上あたりにある側頭部の筋肉も連動して働きます。長引く痛みや無意識の食いしばり・緊張によって気血が十分に巡らなくなると、筋肉や腱(中医学では「経筋」と呼びます)が栄養されずに柔軟性を失い、硬くこわばって顎の動きを制限してしまいます。


【治療】

1. 足の経穴(ツボ)を用いた遠隔治療
顎の周囲を通る経絡(胃経・胆経など)は、実は足の先まで長く繋がっています。まずは患部から離れた「足のツボ」の反応を丁寧に探り、最も反応の強い経穴に鍼を行いました。遠隔部から経絡全体の詰まりを通すことで、これだけでも顎の緊張がふっと抜け、痛みの軽減とともに口が開きやすくなります。

2. 顎周囲・側頭部の凝りに対する局所アプローチ
足の鍼で全体の流れを整えた後、顎の関節周りや側頭部(こめかみ〜耳の上)を詳しく触診しました。噛む動作や食いしばりによって深く凝り固まっている筋肉のポイントを的確に捉え、そこへ直接鍼を施すことで、残っていた深部のこわばりを緩め、さらなる痛みの軽減を図りました。

3. 関節の動きと噛み合わせの連動調整
遠隔のツボと局所の筋肉の双方からアプローチし、口の開け閉めがスムーズに行えるよう気血の巡りを定着させていきました。


【経過】

 1〜2診目:
初回の施術直後から口の開きやすさを実感していただけました。2回目の治療を終えた段階で、気になっていた顎の痛みや、口を開けたときのカクカクという音が明らかに減少しました。

 3〜5診目:
回数を重ねるごとに顎周囲や側頭部の硬さが取れ、食事の際のつらさも大幅に和らいできました。現在5回の治療を終え、初診時のつらさと比較すると症状は半分以下にまで改善しています。

 今後の見通し:順調に回復しておりますが、長年の負担による深部の緊張を完全に取り除き、再発しない状態へと定着させるため、あと数回の継続治療を予定しています。


【まとめ】

顎の痛みや顎関節症は、「顎そのもの」だけの問題と思われがちですが、中医学では全身の経絡の繋がりや、首・肩・側頭部、さらには足元のバランスの乱れが深く関わっていると考えます。そのため、痛い場所だけでなく、今回のように「足のツボ」を併用することで、驚くほどスムーズに口が開くようになるケースが少なくありません。

日常生活では、硬いものを無理に噛まないこと、片側ばかりで噛む癖を意識して減らすこと、そして日中に上下の歯を無意識に接触させない(食いしばらない)よう、時折深呼吸をして肩や顎の力を抜くことが大切です。

「食事のたびに顎が痛む」「口を開けると音がして大きく開けられない」とお悩みの方は、我慢して慢性化させてしまう前に、ぜひ一度当院へご相談ください。

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