印西市草深の鍼灸治療院

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症例

副鼻腔真菌症

【相談内容】

以前、頑固な頭痛に悩まされ病院でCT検査を受けたところ、「副鼻腔真菌症(カビによる副鼻腔の炎症)」との診断を受ける。

副鼻腔真菌症は悪化すると骨を破壊したり、周囲の血管・脳へと炎症が及ぶことで生死に関わる危険性もあるため、医師からは手術を強く勧められたが、現在はご主人の介護を一身に背負っている生活環境にあり、「どうしても長期間入院して手術を受けることができない。なんとか鍼灸治療で少しでも食い止め、改善できないか」と切実な思いでご来院されました。

 主訴:副鼻腔真菌症(手術適応と診断された副鼻腔内の真菌・膿)


【中医学的分析】

副鼻腔真菌症は、西洋医学的にも「寄生型(非浸潤型)」であれば無症状のこともありますが、組織深部へ広がる「浸潤型」へ移行すると致死率も高まる難治性の疾患です。中医学では、真菌(カビ)のような病原体や膿の停滞を「湿熱(しつねつ:体内にこもった余分な湿気と熱)」や「濁邪(だくじゃ)」と捉えます。

通常、私たちの身体には外邪(病原体)を跳ね返す防衛力がありますが、過労や加齢により身体の根底の力が落ちると、体内に病邪が居座ってしまいます。

 ①脾胃虚弱(ひいきょじゃく)による「湿」の停滞
中医学で「脾胃(ひい)」は消化吸収を担うだけでなく、体内の水分代謝を司る重要な器官です。介護の疲れやストレスなどで脾胃が弱ると、水分処理が滞って体内にドロドロとした病理的な水分(湿・痰濁)が生じ、これが熱を持って副鼻腔に溜まりやすくなります。

 ②腎気不足(じんきふそく)による免疫力の低下
「腎(じん)」は生命エネルギーの源であり、現代医学でいう免疫機能や体力の土台にあたります。腎のエネルギーが不足すると身体の防衛機能(衛気:えき)が著しく低下し、真菌の増殖を自力で抑え込むことが難しくなります。

本症例では、「脾」と「腎」を補って自己治癒力・免疫力を底上げし、鼻腔局所の巡りを改善して排膿を促すことが最重要課題であると分析しました。


【治療】

全身の免疫機能の底上げと、鼻・副鼻腔局所の滞りを解消するアプローチを組み合わせ、段階的に施術を進めました。

1. 「脾胃」を整え、体内の余分な湿(膿の元)を溜めない身体づくり
足のツボ(足三里や太白など)を活用し、消化吸収能力と水分代謝を高めました。体内の余分な水分をさばくことで、鼻腔内に新たな痰湿(膿)が生じにくい体内環境へと整えます。

2. 「腎」の精気を補い、根本的な自己免疫力を強化する施術
腰や背部、下肢のツボ(太谿や腎兪など)にお灸や鍼を施し、身体の根源的な生命力を賦活させました。深部に潜む真菌が増殖・浸潤しないよう、防御機能を内側から引き上げます。

3. 鼻周囲の局所施術(印堂・迎香)と「鼻磨き」による通気・排膿促進
眉間にある「印堂(いんどう)」や小鼻の脇にある「迎香(げいこう)」といった鼻の特効穴にアプローチし、副鼻腔周辺の血流を改善しました。さらに仕上げとして鼻周辺の経絡を丁寧に整える「鼻磨き」を行い、局所のうっ血を散らし、膿の自然な排出を促しました。


【経過】

 初診〜13回目
介護を続けながら定期的に施術を継続。13回の治療を終えた段階で耳鼻咽喉科にて再検査を受けたところ、「副鼻腔内の真菌性の膿が明らかに減少している」との診断を受けました。手術を回避したい患者様にとって大きな希望となる一歩でした。

 14回目〜46回目
その後も根気強く通院を続けていただきましたが、副鼻腔真菌症は非常に頑固な疾患です。しばらくは膿の量に大きな変化が見られず、停滞期が続く厳しい時期もありました。体調や季節の変化に合わせて配穴(ツボの選定)を微調整しながら、粘り強く治療を重ねていきました。

 47回目
47回目の治療後に再度耳鼻科で精密検査を実施。停滞していた膿の量が再びしっかりと減少していることが確認されました。患者様も大変喜ばれ、現在も介護生活と両立しながら完治を目指して治療を継続されています。


【まとめ】

副鼻腔真菌症は再発しやすく、一度生じるとなかなか排膿が進まない非常に頑固で油断のできない疾患です。西洋医学的な手術が第一選択となるケースも多いですが、ご家庭の事情や体力的な問題でどうしても手術を受けられない方も少なくありません。

中医学・鍼灸治療の強みは、局所の症状だけを抑え込むのではなく、「自分自身の免疫力(正気)を高めて、病邪(真菌や膿)を排除できる身体環境を作る」点にあります。

「持病や介護があって入院・手術に踏み切れない」「長引く副鼻腔のトラブルで悩んでいる」という方も、体質に合わせたアプローチで改善の道が開ける場合があります。一人で抱え込まず、まずは一度ご相談ください。

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