印西市草深の鍼灸治療院

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症例

耳鳴・頭鳴

【相談内容】

当初は「耳が詰まるような重苦しい感覚(耳閉感)」から始まり、その後、両側の耳鳴りと、頭の中で音が響く「頭鳴(ずめい)」に悩まされるようになった患者様です。

耳鼻科を受診したものの、はっきりとした原因や診断名はつかず、メニエール病に用いられる薬を処方されたが、思うような効果が得られなかった。日が経つにつれて音が大きく感じられるようになり、その辛さから夜も眠れない状態に。心療内科にて不眠症のお薬や自律神経を調節する薬を処方してもらいながら、「耳鳴りと頭鳴を少しでも良くしたい」との思いで当院へ来院。初診時は、長引く不調と睡眠不足から、お身体全体が張り詰めたような緊張感に包まれているご様子でした。

 主訴:両側の耳鳴り、頭鳴(頭の中で音が鳴る感覚)、耳が詰まるような重苦しさ

 随伴症状:不眠症(音が気になって眠れない)、首や肩の強いこり、自律神経の乱れ


【中医学的分析】

詳しい問診をはじめ、脈診・舌診・腹診を通して全身の状態を拝見したところ、根本的な病態は「心脾両虚(しんぴりょうきょ)」および、経過の中で明らかになった「肝気鬱結(かんきうっけつ)」にあると見立てました。

① 心脾両虚(しんぴりょうきょ)
中医学において「脾(ひ)」は胃腸の消化吸収を司り、全身に巡らせるエネルギー(気)や栄養(血)を作り出す源です。そして「心(しん)」は、作られた血を全身へ送り出すとともに、精神活動や睡眠をコントロールしています。

疲労やストレス、考えすぎなどによって胃腸(脾)の働きが落ちると、十分な気血が作られなくなります。その結果、耳や脳(頭)へ栄養が届かなくなり、「キーン」「ザー」といった耳鳴りや頭鳴が生じるのです。また、「心」の栄養も不足するため、精神が落ち着かず不眠症を引き起こしてしまいます。

② 昇陽(しょうよう)の低下と気滞(きたい)

胃腸で作られた綺麗なエネルギーを頭部へ持ち上げる力を「昇陽」と呼びます。この力が弱まると、耳や頭がスッキリせず、耳が詰まるような重苦しい感覚が現れます。さらに、終わりの見えない症状への不安やストレスから、自律神経を司る「肝(かん)」の気の巡りが滞り(気滞)、首肩の強い緊張や頑固な頭鳴・不眠を長引かせる要因となっていました。


【治療】

お身体への負担を考慮しながら、段階的に根本原因へアプローチする施術を行いました。

1. 「心」と「脾」を補い、頭部を潤す治療
まず、気血を生み出す力を高め、精神を安定させるために手首にある「神門(しんもん)」や足首の「三陰交(さんいんこう)」といったツボを用い、弱っている「心」と「脾」の働きを補いました。あわせて、頭のてっぺんにある「百会(百会)」を用いることで、不足していたエネルギーを頭部や耳へとしっかり持ち上げる(昇陽)処置を行いました。

2. 首肩の緊張緩和と耳周囲の血流改善
頭部や内耳への巡りを妨げる大きな原因となっていた首・肩の強いこりを丁寧に和らげ、耳の周りにあるツボにも鍼を行い、局所の気血の巡りをスムーズにしました。

3. 「疏肝理気(そかんりき)」による自律神経の調整
治療を進める中で、耳鳴りは順調に軽減したものの頭鳴が残ったため、足の甲にある「太衝(たいしょう)」というツボを追加し、「疏肝理気」の処置を加えました。

※疏肝理気とは、「肝」の気の滞りを流して整えることで、精神や情緒を安定させ、心身をリラックスさせる(自律神経の機能を調整する)治療法です。張り詰めていた神経の緊張を根本から解きほぐす目的で行いました。


【経過】

 1〜4診目:
心脾を補い、首肩の緊張と耳周りの巡りを整える治療を継続。4回目の治療を終えた段階で、耳鳴りの音が「一番酷い時の半分くらいの大きさ」にまで軽減しました。ただ、この時点では頭鳴にはまだ大きな変化が見られませんでした。

 5診目以降:
頑固な頭鳴と不眠の背景に「気の滞り(自律神経の過緊張)」が強く関わっていると判断し、太衝穴を加えて「疏肝理気」の治療を開始しました。このアプローチが転機となり、変化のなかった頭鳴や不眠症も少しずつ和らぎ始めました。

 11診目:
現在もさらなる安定を目指して治療を継続中ですが、11回の施術を終えた時点で、耳鳴り・頭鳴・不眠症のすべてが「治療開始前の3分の1ほど」にまで改善。「以前ほど音が気にならなくなってきた」とのお声をいただいております。何より、初診時の張り詰めたようなご様子から、現在では表情や纏う雰囲気がとても柔らかく穏やかにお変わりになられたのが大変印象的です。


【まとめ】

病院の検査で「異常なし」と言われたり、お薬を飲んでもなかなか変化が見られなかったりする耳鳴りや頭鳴は、ご本人にしか分からない深い辛さがあり、「このまま治らないのではないか」という強い不安から不眠やさらなる症状の悪化を招くという悪循環に陥りやすい疾患です。

中医学(鍼灸治療)では、耳や頭だけでなく「胃腸の疲れ(気血の不足)」や「自律神経の緊張(気の滞り)」など、お身体全体のバランスから原因を紐解いていきます。日常生活では、まず胃腸に負担をかけない温かい食事を心がけ、夜遅くのスマートフォンなどを控えて「気血」の消耗を防ぐことが大切です。

長引く耳鳴りや頭鳴、それに伴う不眠でお悩みの方は、どうかお一人で抱え込まず、一度当院までご相談ください。

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