灸頭鍼とは
置鍼した鍼の柄の部分に、丸めた艾(もぐさ)を付けて、皮膚表面を温める方法です。
日本では、昭和の時代に笹川智興氏が始められたとされています。
中国古代の文献にも記載はあり、例えば明代の『医学入門・附雑病穴法』巻一には“粟米大の大きさの艾を針の尾にのせて三五壮”との記載があります。粟米とはトウモロコシの事ですが、その粒大の艾を三五壮(35回)するのだから、根気のいる作業です。昔は鍼の構造がお灸で熱を加えるのに適していなかったのかもしれません。一度に大きめに丸めた艾では熱で鍼が曲がってしまうような事もあったかもしれません。
私が北京の広安門医院という国立の中医病院で研修していた際にも、灸頭鍼(中国では温針と呼ぶ)を用いて治療している医師もいらっしゃいました。
灸頭鍼はどのような時に使うか?
ツボは各身体の状態によってその表情(形状)を変えます。硬結と言い硬くコリコリしたものや、力なくへこんでしまっているもの、狭く小さいツボや、広く大きめのツボなどがあります。
灸頭鍼を用いる場合は、冷えていてへこんでいる、もしくはへこみの中に凝りがあるようなものに効果が大きいようです。
青藍堂では全身の状態を把握した上で、冷えを取り去り気血の流れを良くするために灸頭鍼を使用しています。
どのような症状に使うか
頭痛、肩凝り、腰痛、むちうち症、五十肩、胃腸症状、下痢、坐骨神経痛、顔面神経麻痺など、冷えが関係している症状に用います。
参考文献
『中国针灸刺灸法通鉴』黄龙祥主编 青岛出版社
『医学入门』明•李梴 中国科技医疗出版社
『灸頭鍼法』赤羽幸兵衛 医道の日本社
『温灸読本』宮川浩也 医道の日本社
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