印西市草深の鍼灸治療院

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症例

頸部可動域制限

相談内容

長年の「首の痛みと、後ろを振り返ることができないほどの動きの悪さ」にお悩みだった60代男性の症例です。

1年半ほど前から慢性的な首の痛みがあり、特に車を運転する際や、不意に後ろを振り返るような動作が困難な状態が続いていました。整形外科や一般的なマッサージにも通われ、首や背中の筋肉をほぐす治療を受けられたそうです。その結果、幸いにも「痛み」自体は早い段階で消えましたが、肝心の「首の回らない状態(可動域制限)」だけがどうしても改善せず、当院にご相談をいただきました。

  • 主訴:頸部の可動域制限(首が回らない・後ろを振り向けない)
  • 随伴症状:首から背中にかけての頑固な筋緊張(筋肉のはり・こわばり)

中医学的分析

痛みが消えたにもかかわらず、なぜ首の動きだけが制限されたままだったのでしょうか。中医学(中国の伝統医学)では、この原因を単なる筋肉のコリではなく、体内にこもった「湿熱(しつねつ)」による滞りであると分析しました。

湿熱(しつねつ)とは? 体内に溜まった余分な水分(湿)と、炎症やエネルギーの滞りから生まれる熱(熱)が、ドロドロに絡み合って抜けない状態のことです。例えるなら、梅雨時のジメジメとしたサウナのような環境が体の中にできているイメージです。

この湿熱は非常に粘り気が強く、体外に排出されにくいという性質を持っています。これが首まわりの「経絡(けいらく:気や血が通るエネルギーのルート)」や筋肉の隙間にこびりつくと、強い痛みがなくても、筋肉の柔軟性を奪い、関節をロックしたように硬直させてしまうのです。

今回は、表面的な筋肉を緩めるだけでは体内の「湿熱」が抜けないため、可動域が戻らなかったと考えられました。


治療

治療は、体内にこもった湿熱を根本から取り除き、首を通る経絡の流れをスムーズにすることを目的として、ステップに分けて行いました。

  1. 局所の筋肉の緊張緩和
    初診時:まずは周囲の「はり」を緩める
    まずは首から背中にかけて、カチカチに緊張している表層の筋肉を優しく緩める鍼灸施術を行いました。
  2. 湿熱のルート(経絡)の特定
    2回目以降:首を動かす手の経絡に着目
    痛みが引いた後も残る可動域制限に対し、首の回旋(回す動作)を司る経絡の滞りをチェック。首と深くつながっている「手」のツボ(経穴)に焦点を絞りました。
  3. 遠隔施術による「湿熱」の除去
    仕上げ:手のツボから全身の巡りを変える
    手のツボに鍼(はり)を施し、経絡上に滞った湿熱を流して体外へ排出するよう促しました。局所ではなく、あえて「手」のツボを使うことで、首の深い部分の滞りを劇的に引き抜くことができます。

経過

初診〜数回目

首や背中の筋肉を丁寧に緩めることで、1年半続いていた首の緊張が軽減。しかし、この段階ではまだ首の動かしづらさ(可動域)には大きな変化が見られませんでした。

手のツボを追加した治療1回目

お体の状態から「湿熱の滞り」を確信し、手の経穴(ツボ)を用いた遠隔治療へと切り替えました。施術直後から、首の奥の方にあった「引っかかり感」が軽くなるのを実感していただけました。

手のツボを追加した治療2回目

手のツボへのアプローチを続けて2回目。あんなに硬くロックされていた首の回旋動作が大きく改善し、「1年半ぶりに、ストレスなく後ろをスムーズに振り返ることができるようになった!」と、大変喜んでいただくことができました。


まとめ

今回の症例は、「痛みなどの症状がある場所にだけ原因があるわけではない」という、中医学の全体観(体全体を診る視点)の重要性を改めて教えてくれるものでした。痛みが消えても動きが悪い場合、それは体の中に「湿熱」という目に見えないジメジメした滞りが残っているサインかもしれません。体内に「湿熱」を溜め込まないためには、脂っこい食事や甘いものの摂りすぎ、アルコールなどを控えましょう。ご自身にあった適度な運動もおすすめです。

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