印西市草深の鍼灸治療院

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症例

有痛性外脛骨

【相談内容】

陸上競技に打ち込む10代の男子学生。練習量の増加に伴い、徐々に左足の内側に強い痛みを感じるようになる。

近隣の整形外科を受診したところ、「有痛性外脛骨(ゆうつうせいがいけいこつ)」との診断を受ける。当初はダッシュやジャンプなど運動時のみの痛みでしたが、最近では日常の歩行時にもズキズキと痛むようになり、「このままでは競技を続けられない」と不安を抱えて当院にご相談いただきました。

 主訴:左足内側の痛み(有痛性外脛骨、歩行時痛・運動時痛)

 随伴症状:足先の顕著な冷え、ふくらはぎからすねにかけての筋肉の強い緊張


【中医学的分析】

中医学では、骨や腱、筋肉のトラブルを単なる局所の炎症としてだけでなく、全身のバランスや経絡(けいらく:気血の通り道)の巡りから捉えます。

 ①気滞血瘀(きたいけつお):過度な負荷による循環の滞り
激しいランニングの繰り返しにより、局所の「気(エネルギー)」と「血(栄養を運ぶ血液)」の流れが滞り、痛みが引き起こされている。中医学には「不通則痛(通ぜざれば則ち痛む:巡りが悪いと痛みが生じる)」という原則があります。

 ②寒凝経脈(かんぎょうけいみゃく):冷えによる痛みの増強
足先に強い冷えがみられる。身体は冷えると血管や筋肉が収縮し、気血の巡りがさらに悪化する。冷えが患部の緊張を助長し、治癒力を妨げる要因となっている。

 ③経絡の緊張(足の太陰脾経・足の少陰腎経)
患部である足の内側アーチ周辺は、消化器系に関わる「脾経」や、成長・骨を司る「腎経」が走行していて、特にすねの内側を走る筋肉(後脛骨筋)の過緊張が、外脛骨を強く牽引して痛みを誘発している。


【治療】

痛みを取り除くだけでなく、冷えを改善して筋肉の柔軟性を取り戻すため、3つのステップでアプローチを行いました。

1. すねの内側(後脛骨筋)への置針
足の内側アーチを支え、過剰骨を引っ張る原因となっている「後脛骨筋」を中心に鍼を刺入。筋緊張を物理的・経絡的に緩め、外脛骨にかかる牽引ストレスを軽減。

2. 灸頭鍼(きゅうとうしん)による深部加温
鍼の頭に艾(もぐさ)を乗せて燃焼させる「灸頭鍼」を実施。下肢の冷えを芯から温め、気血の巡りを促進して組織の回復を促した。

3. 患部(過剰骨の隆起部)への温灸
骨が隆起して熱感や圧痛が出やすい局所に対し、穏やかな温灸を施す。温熱刺激によって局所の血行を局所的に高め、滞った瘀血(血の滞り)を散らして除痛を図った。


【経過】

 初診
施術直後からすねと足裏の緊張が大幅に緩和。歩く際のズキズキとした痛みが消失し、足取り軽く歩行できるようになる。

 2診(1週間後)
日常の歩行時痛は再発せず安定。ただし、陸上練習でスピードを上げて走ると、まだ患部に痛みが誘発される状態。初診の施術内容に加え、疲労が蓄積していたふくらはぎ(腓腹筋・ヒラメ筋)にも刺針範囲を拡大。患部への温灸を重点的に行い、運動負荷に耐えうる柔軟性を確保した。

 現在
部活動で激しい練習を継続しているため、完全な骨の安静を保つのが難しい環境です。競技を続けながら再発と悪化を防ぐコンディショニングとして、現在は「2週間に1回」のペースで定期通院を継続。走った後の違和感を最小限に抑えながら練習に取り組めている。


【まとめ】

有痛性外脛骨は、成長期で骨がまだ完全に固まっていない時期に、陸上やバスケットボール、サッカーなど激しいダッシュ・ターンを繰り返すことで発症しやすい疾患です。

競技を休めない学生の場合、局所のアイシングだけでは筋肉が硬直してしまい、かえって痛みが長引くケースが少なくありません。冷えを取り除き、すねやふくらはぎ全体の柔軟性を高める鍼灸治療は、早期の運動復帰と痛みのコントロールに非常に有効です。

ご家庭では、練習後の入浴で下半身をしっかり温め、足裏からふくらはぎを優しくストレッチする習慣をつけてみてください。「走ると足の内側が痛む」「インソールを作っても痛みが引かない」とお悩みのお子様や保護者様は、ぜひ一度ご相談ください。

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