印西市草深の鍼灸治療院

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症例

便秘

【相談内容】

50代の女性。以前より指定難病である「Cowden(カウデン)症候群」を患っており、消化管の過誤腫(良性の腫瘍性病変)や甲状腺腫瘍、脳腫瘍などの既往歴あり。

日頃から食事や適度な運動に気を配り体調管理に努めているが、来院の1週間ほど前から急激にお腹の動きが低下し、排便が滞るようになる。「持病による消化管ポリープが増大して腸管を圧迫しているのではないか」という強い不安を抱えて来院。

お身体を拝見すると、腸の蠕動不全による便秘に加え、左鼠径部の詰まり感、足の強いむくみ、慢性的な肩こりがあり、全身に鉛が入ったような重だるさを感じると訴えられていました。

 主訴:頑固な便秘(腸の蠕動不全・動きの低下)

 随伴症状:左鼠径部の詰まり感、下肢のむくみ、慢性肩こり、全身の重だるさ

 既往歴:Cowden症候群、脳腫瘍(レルミット・ダクロス病)、甲状腺腫瘍、乳癌(両乳房摘出後)、左変形性膝関節症


【中医学的分析】

中医学において、腫瘍やポリープ、過誤腫といった異常な塊は、体内の巡りが長期にわたり滞ることで生じる「痰湿(たんしつ:余分な水分や老廃物の塊)」や「瘀血(おけつ:血流の滞り)」が根底にあります。

今回の患者様のお身体は、以下の複合的なバランスの崩れによって引き起こされていました。

1. 脾気虚(ひききょ:消化吸収と巡りのエネルギー不足)
中医学でいう「脾(胃腸系)」は、摂取した飲食物をエネルギー(気・血・水)に変え、全身へ送り出す中心地。
脾のエネルギーが不足すると、胃腸が自力で動く力(蠕動運動)が落ち、便を押し出せなくなる。

2. 痰濁停滞(たんだくていたい:老廃物の蓄積)
脾の機能低下により水分代謝が滞り、身体に重だるさや足の強いむくみを生み出す「痰湿(老廃物)」が停滞。これが長期化することで、腫瘍などの病変が形成されやすい体内環境を作ってしまう。

3. 気滞血瘀(きたいけつお:巡りの停滞による詰まり)
過去の手術歴や不安・緊張から巡りが滞り、左鼠径部の詰まり感や肩こりとして表面化。下腹部の気血が滞ることで、さらに腸の運動を物理的・機能的に阻害している。


【治療】

全身の気血の流れを整え、滞った老廃物を排出できる巡りの土台を築くため、段階を追った鍼灸施術を行いました。

1. 脾胃の運化(消化吸収機能)の底上げ
 胃腸の働きを司る経絡を使用し、低下していた腸のぜん動運動を活性化。自力で便を送り出すエネルギーを養う。

2. 鼠径部の気血の滞りと下肢の痰湿(老廃物)の排出
左鼠径部の緊張を緩めて下腹部から下肢への巡りのルートを開通させ、豊隆穴などを用いて足に溜まった余分な水分と老廃物を押し流す。

3. 気血の巡りを促し塊を散らす(活血化痰)アプローチ
 太衝や膈兪穴を使用し、全身の巡りを統括する「肝」と血流を整え、体内に固まった老廃物や血の滞りを徐々に散らす体内環境へ導く。


【経過】

 初診〜3診目:
治療を重ねるごとに腸がグルグルと自然に動き始め、3回目の施術後から「2日に1回、すっきりと気持ちよく排便できる」状態へと改善。

 4診目:
自然な空腹感を感じられるようになり、身体全体の重だるさが抜けて軽やかさを実感。それまでは1日に何度もトイレに行き少量の便を出す状態が、1回でまとまった便が出るようになる。

 6診目:
定期フォロー先の病院にて甲状腺エコー検査を実施。長年観察されていた甲状腺腫瘍のサイズが「3.8cmから1.9cmへと半減」していることが確認される。

※担当医師からは「4.0cmを超えた場合は悪性化のリスクを考慮して甲状腺の全摘手術が必要」と告げられていたため、手術を回避できる数値まで縮小したことに大変喜ばれていました。

 現在:
体調の安定と巡りの維持を目的として、10日に1回のペースで定期施術を継続中。今後予定されている消化器科および脳神経外科の精密検査に向けて、引き続き全身の解毒・排泄力を高めるサポートを行っている。


【まとめ】

難病や腫瘍性の疾患を抱えていると、「症状は病気のせいだから仕方がない」「これ以上良くならないのでは」と不安を募らせてしまいがちです。

しかし中医学では、病名にとらわれず、「今、身体の巡りがどう滞っているのか」「どの臓腑が弱っているのか」を丁寧に読み解き、本来備わっている自己治癒力や代謝・排泄機能を底上げしていきます。胃腸の巡りが整い、体内に溜まった老廃物がスムーズに排出されるようになると、全身の免疫力や組織の回復力も自然と引き出されます。

頑固な便秘や繰り返す不調でお悩みの方も、あきらめずにぜひ一度ご相談ください。

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