印西市草深の鍼灸治療院

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症例

眼瞼痙攣

【相談内容】

60代の女性の症例です。

約5年前から右眼の奥の強い痛みや、視界がギラギラと光るような症状(閃輝暗点様)を自覚されていました。眼科を受診したものの目立った器質的異常は見つからず、ドライアイ等の処置を受けながら経過を見ていましたが、すっきりしない痛みが断続的に残存していました。  

ここ半年ほどは「右目が開きづらい」感覚が続いていたところ、12月中旬から症状が急激に悪化。右目の痙攣(ピクつき)が止まらなくなり、室内でも目を開けていられないほどの強い羞明(まぶしさ)と激しい眼痛・頭痛が出現しました。夜間の車の運転も困難となり、顔や目の周りの腫れぼったさや不安感、眠りの浅さにも悩まされ、当院にご相談いただきました。  

 主訴:右眼優位の痙攣(ピクつき)、強い羞明(まぶしさ)、開瞼困難、眼痛、頭痛  

 随伴症状:顔・眼周囲の腫れぼったさ(浮腫感)、動悸・息切れ、浅眠(物音で起きやすい)、不安感  


【中医学的分析】

望診(舌の状態)では、舌の色が淡く歯の痕(歯痕)がついており、水分代謝の停滞が見られました。また、脈診や腹診でもお腹の張りや胃腸・呼吸器・腎の弱さ(肺・脾・腎の虚)が確認されました。  

中医学では、本症例の背景を「本虚標実(ほんきょひょうじつ:土台のエネルギー不足の上に、一時的な過剰反応が乗っている状態)」と見立てました。  

1. 土台にある「肺・脾・腎」の弱り(本虚)  

 脾(消化吸収)と肺の弱り:食べたものを全身のエネルギーや水分に変える力が低下し、体内に余分な水分=「痰湿(たんしつ:体に溜まった老廃水分)」が生じやすくなっていました。  

 腎(生命エネルギーの源)の弱り:水分代謝を支える根元の力が低下し、むくみや眠りの浅さ、夜間尿の波といった不調につながっていました。  

2. 頭目に吹き荒れる「内風」と「気逆」(標実)  

 目や筋肉の動きを司る「肝(かん)」に十分な潤いや栄養(気血)が届かない状態(血不養筋)に、自律神経の乱れ(肝失疏泄)が重なることで、体内で風が吹き荒れるような「肝風内動(かんふうないどう)」が発生。これが持続する激しいピクつきを引き起こしていました。  

 さらに、滞った痰湿とエネルギーが頭部へ突き上げる(気機上逆)ことで、目や頭の感覚が極度に過敏化し、激しいまぶしさ(羞明)や眼痛、頭痛を招いていました。  


【治療】

「急性的に暴れている目の風と熱感を速やかに鎮めること(標治)」と、「痰湿を生み出している土台の胃腸や腎を補うこと(本治)」を並行してアプローチしました。  

1. 頭目の興奮を鎮め、過敏状態を解除する(平肝熄風・清頭目)  

 風池(ふうち)・天柱(てんちゅう)・上天柱(かみてんちゅう):首肩の緊張を緩めつつ、頭部に昇りつめた気逆を降ろし、目と頭の過敏な興奮・羞明・痛みを鎮めます。  

 太衝(たいしょう):肝の緊張を緩め、痙攣を引き起こす「風」のスイッチを根本から切るためにアプローチします。  

2. 頭部周囲の巡りを整え、自律神経の緊張を和らげる(通絡・疏肝)  

 外関(がいかん):少陽経の巡りを整えて側頭部から目周囲の気血の滞りを開き、まぶしさと重だるさを緩和します。  

 肝兪(かんゆ):背部から自律神経と関係の深い肝の働きを整え、目への血流供給を促します。  

3. 胃腸と腎を強め、老廃水分の滞りを防ぐ(健脾化痰・補腎)  

 公孫(こうそん)ー内関(ないかん):奇経八脈(衝脈・陰維脈)を通して胃腸の調子を整え、胸腹部の滞りをほぐして動悸や不安感を和らげます。  

 足三里(あしさんり)・太谿(たいけい):消化機能を高めて痰湿の発生源を断つとともに、腎の力を補って余分なむくみを排出し、再発しにくい体質へと導きます。  


【経過】

 初診
首回りのツボ(風池・天柱など)と背部の肝兪、手足の要穴(公孫・内関)を中心に施術。施術直後より首肩の緊張が緩み、頭の重苦しさと目のピクつきの頻度が減弱傾向に。  

 2〜3回目
太衝や外関、足三里などを加え、頭部への気逆を抑えつつ胃腸の巡りを強化。室内で目を開けていられないほどの激しい羞明感が緩和し、目の痛みも落ち着いてきました。  

 4回目以降
夜間の車の運転も少しずつ再開できるようになり、持続していた眼瞼の痙攣も消失。顔や目の腫れぼったさ、睡眠の浅さも改善に向かい、安定した状態を維持できるよう調整を続けています。


【まとめ】

眼瞼痙攣やまぶしさ・眼痛は、眼精疲労やドライアイだけでなく、首肩の強いこり、自律神経の乱れ、そして胃腸や体液バランスの乱れが複雑に絡み合って起こることが少なくありません。  

特に「目を開けていられないほどのまぶしさ」や「持続する強いピクつき」は、体の上部に熱や気が昇りすぎているサインです。長時間の画面作業や強い光を避け、首や目元を優しく休めるとともに、冷たい飲食を控えて胃腸を温めることが回復への第一歩となります。眼科的な治療を続けてもなかなかすっきりしない目の不調でお悩みの方は、全身の巡りから整える東洋医学的なアプローチをぜひ一度ご相談ください。

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