【相談内容】
ご来院の5日前、突然の激しいめまいと嘔吐に襲われ、ご自身で立つことも歩くことも困難な状態に陥ってしまわれた患者様です。救急受診された病院では「メニエール病の疑い」と診断を受け、点滴治療が行われました。
点滴によって激しい嘔吐は治まったものの、回転するような強いめまいが一向に引かず、「早くこのめまいを取り除き、日常に戻りたい」とご主人の肩を借りて支えられながら当院へお越しになりました。
主訴:立つこと・歩行も困難な強いめまい(メニエール病疑い)
随伴症状:初期の激しい嘔吐、頑固な首肩のこり、腰痛
【中医学的分析】
お身体の状態を詳しく拝見したところ、過度な緊張や疲労、ストレスなどが重なり、頭部へ熱が突き上がってしまう「肝陽上亢(かんようじょうこう:ストレスや自律神経の乱れから頭部へ熱や気があがり、めまい・耳鳴りを引き起こす状態)」の傾向が強くみられました。
また、首から肩にかけての筋緊張(気滞血瘀:気の滞りと血行不良)が強く、上部への血流や津液(体内の水分代謝)が滞り、内耳に余分な水気が停滞する「水湿(すいしつ)」を形成したことも、メニエール特有の回転性めまいや嘔吐を誘発した要因と考えられます。
【治療】
1. 頭部に昇った過剰な熱を降ろす施術
頭部に熱が充満していると、脳や内耳の興奮・浮腫が引かずめまいが増幅します。まずは熱を冷まし、下に引き下げる働きを持つツボ(太衝や行間など)を用いて、身体の熱循環を鎮静化させました。
2. 耳周囲の経穴(ツボ)への鍼治療
耳周囲を走る「少陽経(胆経・三焦経)」のツボ(翳風・聴宮など)に鍼を施し、内耳周辺の局所的なリンパ・血流の滞りを解消して余分なむくみを取り除きました。
3. 首・肩・腰の筋緊張の緩和
頭部へ向かう血流の関所となる首・肩周りの凝り固まった筋肉を丁寧に緩め、同時に自律神経の通り道である脊柱起立筋・腰部の緊張を解きほぐすことで、全身の気血巡りを整えました。
【経過】
初診時
自力での自立・歩行が困難で、ご主人の手厚い介助を受けながらの来院。施術直後から頭部の熱感や重だるさがやや軽減。
2回目
めまいの強さが減少し、長年抱えていた腰痛の辛さが「半分以下」まで大幅に軽減。
3回目
まだ僅かにふらつきは残るものの、ご主人の介助なしでご自身の足でしっかりとお帰りになれるまでに回復。
現在
日常生活への完全復帰に向けて継続治療中。あと2〜3回程度の施術でめまいを完全に消失させ、元の元気な生活へ戻れる見込みです。
【まとめ】
メニエール病や激しいめまいは、内耳だけの問題にとどまらず、首肩の強いこりやストレスによる「熱の上昇(自律神経の昂ぶり)」が深く関わっています。
初期の急性期は無理に動かず安静を保ち、水分や冷たいものの過剰摂取を控え、首肩を冷やさないことが回復への第一歩です。「病院で点滴を受けたけれど、めまいやふらつきがすっきり治らない」「歩くのも辛い」という方も、体内の気血のアンバランスを整えることで速やかな回復が期待できます。一人で抱え込まず、ぜひお早めにご相談ください。
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